特集:
2008/05/28 日記<共有>
共有
共有(きょうゆう)とは、所有権などある一定の権利が複数の主体によって支配・利用されている状態のこと。日本民法の法律用語では、所有権以外の財産権の共有については準共有(じゅんきょうゆう)と呼ばれる()。共有関係にある者のことを共有者(きょうゆうしゃ)という。民法は単独所有を原則とするが、現実には、共同生活の中で、一つの物に対し複数人が所有する事もよく行われる為、からまでの共有に関する規定がおかれた。ただし、共有関係、特に狭義の共有は、法律関係を複雑にし、その把握を非常に困難にする事から、比較的容易に共有関係を脱する事が出来るような規定(共有物分割等)が多くおかれている。
広義の共有
概説
広義の共有(狭義の共有と区別するため共同所有とも呼ばれる)には、団体主義的な色彩が強いものから個人主義的な色彩が強いものまでさまざま存在する。講学上は以下の三類型に分類される。*総有
:もっとも団体主義的な色彩が強い類型。個々の共有者の持分の大きさは観念できないため、利用方法の決定には、持分権を有する者全員の合意が必要となる。権利能力なき社団における共同所有形態はこれであるとされる。民法上の組合が、個々の共有者の持分の大きさを観念せずに運用されるに至った場合(慣習的に社団化した場合)、結果的に持分権者全員の合意が必要となり、総有となる。
:総有と共有(狭義)との中間的な類型。個々の共有者の持分は観念できるものの、分割請求などは大きく制約される。共同信託や組合がこれである。夫婦間の財産関係(参照)については争いがある。利用方法の決定には、持分権における過半数の合意が必要となる。
:もっとも個人主義的な色彩が強い類型。個々の共有者の持分は具体的に観念され、分割請求なども自由になしうる。
日本法
民法第二編第三章第三節において「共有」に関する規定が置かれているが、これは狭義の共有に関する規定である。また、民法の文言上、「共有」という文言が使われている場合でも、実際は総有または合有を意味する場合がある。
狭義の共有
概説
狭義の共有とは、広義の共有のうち、持分の処分等について各共有者の独立性が強い類型のものをいう。
日本法
狭義の共有については、から、に規定されている。
共有持分
共有者が有する所有の割合の事を持分(もちぶん)または共有持分と言う。その割合は、意思や法律の規定によって定められるが、法律上等しいものと推定される()。共有者の一人が、持分を放棄したときおよび死亡して相続人がいないときは、その共有者の持分は他の共有者に帰属する()。ただし、死亡して相続人がいないときでも特別縁故者がいる場合は、による特別縁故者への相続財産の分与が優先され、共有者には帰属しない(最判平成元・11・24)。この事は、相続人無き死者の財産は、本来国庫に帰属すべきだが、その財産中の共有持分をも国庫帰属とすると、「国と他共有者との共有」という非常に難解な法律関係を生み出す事になり、それを避けるために設けられた特側が255条であるという判例の立場の表れである。
共有物に対する権利
脚注
共有物の分割請求
詳しくは、共有物分割の項目を参照。
不動産登記(民法255条関連)
共有持分放棄
概要
本稿では、不動産の所有権について持分を放棄した場合の登記について述べる。共有者の一人がその持分を放棄して他の共有者に帰属する場合、共有者の持分抹消登記ではなく持分移転登記をするべきである(最判1969年(昭和44年)3月27日民集23巻3号619頁)。放棄した持分は、他の共有者にその持分の割合に応じて移転するのであって、特定の者のために持分放棄に基づく持分移転登記を申請することはできない(登記研究470-97頁)。なお、持分放棄に基づく持分取得は原始取得である(登記研究10-30頁)。
前提の登記
共有持分放棄をした者がその前に住所を移転している場合、持分移転登記の前提として登記名義人表示変更登記をしなければならない(登記研究473-151頁)。*移転登記未了
A・B共有の不動産につきAがCに持分全部を売却した後、その登記をしないうちにBが持分放棄をした場合、持分放棄を原因とするBからCへの持分移転登記の前提として、売買を原因とするAからCへの持分移転登記をしなければならない(1985年(昭和60年)12月2日民三5440号回答)。*更正登記
真実はA・B共有であるのに、誤ってAの単独所有である登記がされている不動産につきBが持分放棄をした場合、持分放棄を原因とするBからAへの持分移転登記の前提として、A・Bの共有とする所有権更正登記をしなければならない(1985年(昭和60年)12月2日民三5440号回答参照)。
登記の可否
A・B・C共有の不動産につきAが持分放棄をした場合、AとBの共同申請によりAからB・Cへの持分移転登記をすることはできない(登記研究577-154頁)。*一部の移転
A・B・C共有の不動産につきAが持分放棄をした場合、AとBの共同申請によりAからBへ移転した持分のみについて持分移転登記をすることができる(1962年(昭和37年)9月29日民甲2751号回答)。*一部の移転に乗じた残部の移転
上記一部の移転登記後Cが登記をしていなことに乗じて、Cに移転すべき持分をAが第三者Dへ売却した場合、売買を原因とするAからDへの持分移転登記の申請は受理される(1969年(昭和44年)5月29日民甲1134号回答、)。*持分全部移転仮登記がされている場合
A・B・C共有の不動産につきCからBへの持分全部移転仮登記(不動産登記法105条1号)がされている場合、AからBへ持分放棄を原因とする持分全部移転登記を申請することはできない(登記研究655-187頁)。
登記申請情報(一部)
登記の目的(不動産登記令3条5号)は、「A持分全部移転」のように記載する。既述一部の移転の場合、「A持分一部移転」のように記載する。登記原因及びその日付(不動産登記令3条6号)のうち、登記原因は「持分放棄」である。不動産登記法は、民法又は民法の特別法に根拠があるならそのまま登記原因とできる趣旨だからである。持分放棄は単独行為であり、意思表示が他の共有者に到達しなくても効力が発生するから、持分放棄の意思表示をした日を日付とする。そして、原因と日付を合わせて「平成何年何月何日持分放棄」のように記載する。登記申請人(不動産登記令3条1号)は、持分を得る他の共有者を登記権利者とし、持分放棄をして失う者を登記義務者として記載する。持分放棄をした者が単独で申請をすることは原則としてできない(登記研究86-40頁)。なお、法人が申請人となる場合、以下の事項も記載しなければならない。
相続人不存在
本稿では共有不動産に限らず、不動産全般につき所有者が相続人なくして死亡した場合の流れと手続きについて述べる。
概要
不動産の所有者が死亡したが相続人のあることが明らかでない場合、相続財産は法人となる()。この場合、家庭裁判所は相続財産管理人を選任し、公告をしなければならない()。相続財産管理人の選任後、被相続人名義の不動産につき相続財産管理人から相続財産法人名義への登記名義人表示変更登記を申請することになる(1935年(昭和10年)1月14日民甲39号通達)。この登記は付記登記でされる(不動産登記規則3条1号)。なお、相続人のあることは明らかだが所在が明らかでない場合、不在者財産管理人による相続登記を申請できる。共同相続人の1人の所在が明らかでない場合、不在者財産管理人は家庭裁判所の許可を得て遺産分割協議に参加することができる(1964年(昭和39年)8月7日民三597号回答)。選任公告期間内に相続人のあることが明らかにならなかった場合、相続財産管理人は相続債権者及び受遺者に対して請求の申出をすべき旨を公告しなければならない(1項)。請求申出の公告の期間満了後になお相続人のあることが明らかでない場合、家庭裁判所は相続人捜索公告をしなければならない()。捜索公告終了までに相続人のあることが明らかになった場合、通常の相続登記を申請するが、前提として登記名義人表示変更登記を抹消する必要はない(1955年(昭和30年)5月28日民甲1047号回答)。捜索公告終了後特別縁故者がいる場合、家庭裁判所は審判により相続財産の全部又は一部を特別縁故者に与えることができる(第1項)。この場合、相続財産法人から特別縁故者への移転登記を申請することができる。特別縁故者がいないか審判の申立てが却下されたなどにより相続財産が特別縁故者に移転しない場合、不動産が単独所有なら国庫に帰属し()、共有なら他の共有者に帰属する()。この場合、相続財産法人から国又は他の共有者への移転登記を申請することになる。以下、相続財産法人への登記名義人表示変更登記・特別縁故者への移転登記・他の共有者への移転登記の登記申請情報(一部)について述べる。
登記名義人表示変更登記
登記の目的(不動産登記令3条5号)は、変更すべき所有権を順位番号で示し、「2番登記名義人氏名変更」のように記載する(登記研究707-193頁)。不動産が共有の場合でも同様である。登記原因及びその日付(不動産登記令3条6号)は、被相続人が死亡した日を原因日付とし、「平成何年何月何日相続人不存在」のように記載する。変更後の事項(不動産登記令別表23項申請情報)は、不動産が単独所有の場合、「登記名義人 亡A相続財産」のように記載する。不動産が共有の場合、「共有者A登記名義人 亡A相続財産」のように記載する。登記申請人(不動産登記令3条1号)については、相続財産管理人による単独申請で行う(不動産登記法64条1項)。例えばBが相続財産管理人の場合、「亡A相続財産管理人B」のように記載する。添付情報(不動産登記規則34条1項6号、一部)は、登記原因証明情報(不動産登記法61条・不動産登記令7条1項5号ロ)及び代理権限証明情報(不動産登記令7条1項2号)である。登記原因証明情報とは、被相続人が相続人なくして死亡したことを証する情報(不動産登記令別表23項添付情報)であり、具体例は戸籍謄本・除籍謄本などである。代理権限証明情報とは、相続財産管理人の家庭裁判所による選任審判書である。なお、選任審判書に、当該相続財産管理人の選任が相続人不存在の場合であること、及び死亡者の死亡年月日が明らかである場合には、当該選任審判書は登記原因証明情報を兼ねることができる(1964年(昭和39年)2月28日民甲422号通達)。登録免許税(不動産登記規則189条1項前段)は、不動産1個につき1,000円である(登録免許税法別表第1-1(14))。
特別縁故者への移転
登記の目的(不動産登記令3条5号)は、不動産が単独所有の場合、「所有権移転」と記載する。不動産が共有の場合、「亡A相続財産持分全部移転」のように記載する。登記原因及びその日付(不動産登記令3条6号)は、の審判が確定した日を日付とし、「平成何年何月何日民法第958条の3の審判」のように記載する。登記申請人(不動産登記令3条1号)は、特別縁故者を登記権利者とし、相続財産法人を登記義務者として記載するが、確定判決による申請(不動産登記法63条1項)に準じて、特別縁故者の単独申請により登記をすることもできる(1962年(昭和37年)6月15日民甲1606号通達)。添付情報(不動産登記規則34条1項6号、一部)は、特別縁故者の単独申請による場合、登記原因証明情報(不動産登記法61条・不動産登記令7条1項5号ロ)及び登記権利者の住所証明情報(不動産登記令別表30項添付情報ロ)を添付する。登記原因証明情報とは、審判書正本及びその確定証明書である(1962年(昭和37年)6月15日民甲1606号通達)。一方、農地又は採草放牧地(農地法2条1項)につき移転登記を申請する場合でも、農地法3条の許可書(不動産登記令7条1項5号ハ)の添付は不要である(農地法3条1項7号)。登録免許税(不動産登記規則189条1項前段)は、不動産の価額の1,000分の20である(登録免許税法別表第1-1(2)ハ)。 不動産が共有の場合、不動産の価額に移転する持分の割合を乗じて計算した金額(登録免許税法10条2項)の1,000分の20である。なお、端数処理など算出方法の通則については不動産登記#登録免許税を参照。
他の共有者への移転
登記の目的(不動産登記令3条5号)は、「亡A相続財産持分全部移転」のように記載する。登記原因及びその日付(不動産登記令3条6号)は、第2項に規定される申立て期間満了日の翌日(特別縁故者からの申立てがない場合)又は申立てを却下する審判が確定した日の翌日(申立てはあったが却下され、確定した場合)を日付とし、「平成何年何月何日特別縁故者不存在確定」と記載する(1991年(平成3年)4月12日民三2398号通達)。ただし、当該原因日付は各種公告や申立ての必要期間を勘案し、被相続人の死亡の日から13か月を経過していなければならない(同先例)。登記申請人(不動産登記令3条1号)は、持分を得る他の共有者を登記権利者とし、相続財産法人を登記義務者として記載する。単独申請をできる規定が存在しないので、共有者と相続財産管理人の共同申請により行う(不動産登記法60条)。添付情報(不動産登記規則34条1項6号、一部)は、登記原因証明情報(不動産登記法61条・不動産登記令7条1項5号ロ)、登記義務者の登記識別情報(不動産登記法22条本文)又は登記済証及び書面申請の場合には印鑑証明書(不動産登記令16条2項・不動産登記規則48条1項5号及び同規則47条3号イ(1)、同令18条2項・同規則49条2項4号及び同規則48条1項5号並びに同規則47条3号イ(1))、登記権利者の住所証明情報(不動産登記令別表30項添付情報ロ)、代理権限証明情報(不動産登記令7条1項2号)である。相続財産法人名義への登記名義人表示変更登記の際に交付された登記済証は権利に関する登記済証ではないので、当該他の共有者への移転登記の申請に使用することはできない(登記研究563-127頁)。なお、相続財産法人が登記義務者となる場合、相続財産管理人が家庭裁判所の権限外行為許可書(・参照)を添付すれば、登記識別情報の提供は不要である(登記研究606-199頁)。印鑑証明書は、相続財産管理人のものを添付する。登録免許税(不動産登記規則189条1項前段)は、不動産の価額に移転する持分の割合を乗じて計算した金額(登録免許税法10条2項)の1,000分の20である(登録免許税法別表第1-1(2)ハ)。 なお、端数処理など算出方法の通則については不動産登記#登録免許税を参照。
関連項目
参考文献
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